総括

マラカナン・スタジアム

ブラジル

2014・ブラジル・ワールドカップはドイツの4度目の優勝で幕を閉じた。

美しい繋ぎと縦への速い攻め。ミュンヘンとドルトムントをミックスさせたようなフットボールで、一つの壁となっていたセミファイナルをブラジル相手に7-1という歴史的大勝利で突破を果たし、ファイナルはもう一つの南米の雄、メッシ擁するアルゼンチンをアディショナル・タイムにゲッツェのボレーで沈め、アメリカ大陸で初めてヨーロッパの国がタイトルを獲得するという歴史を作った。

ブラジル対クロアチアで幕が上がった今大会。

開幕戦は退屈なゲームが多いが両チーム合わせて4発(ブラジルが3-1で勝利したのだけれど)という結果に、今大会の未来が表れていたのかもしれない。グループ・ステージ各組で熱戦、激戦が繰り広げられたと思う。引き分けが極端に少なく(48ゲーム中9ゲームのみ)、とかく守備的に成りがちなワールドカップにおいて、ゴールがたくさん生まれ、列強と言われる国を相手にダークホース、アウトサイダーが、怖れず怯まず果敢にゴールを狙いに行った。

チリ、コロンビア、メキシコ、アメリカ、ベルギー、スイス、ガーナ、コスタリカ。惨めだった日本代表に心を痛めたのを除けば、これほど楽しいワールドカップは初めてかもしれない。グループ・ステージは本当に楽しかった。スペイン、イングランド、イタリア、ポルトガルに失望した方も多かった(僕もその一人だが)と思うが、アップセット、ジャイアント・キリングもフットボールの醍醐味だ。予定調和だけではつまらない。さすがにクォーター・ファイナルからはPK戦も多くなり、列強同士の息詰る鍔迫り合いはいつものワールドカップだったが、それでもエキサイティングに違いなかった。

物忘れが多くなった41歳の僕だが、今大会は長く記憶に留まるだろう。

戦術的に新しい“何か”があった訳ではないが、ファイブバック(スリーバック)でまずは守備を構築し、カウンターからネット揺らす(オランダがスペインを5-1で沈めた一戦は白眉だった)戦術が多く見られた。

フォーメーション論議に意味はないが、スペクタクルだったバルサをベースとしたスペインのパス・フットボールをどう攻略するかがポイントだった4年間。引いて守る相手をどう崩すかという永遠のテーマに対する明確なアンサーはには至らなかったが、セミ・ファイナルに進出したブラジルはネイマール、アルゼンチンはメッシという“個”の力に賭けて、オランダはロッベンとファン・ペルシーにボールを集め、トーナメントを登って行った。

引いて守る相手とカウンター。スペースがなければカウンターは見舞えない。大いなる矛盾が立ちはだかる現実に対して、スペインは間違え、ドイツが一つの答えを出した。

若手とベテランが上手くミックスしたドイツは、優勝候補筆頭のままロシア大会を迎えるだろう。しかし、フットボールの世界での4年間はパラダイムシフトには充分過ぎる時間だ。新しい“何か”とそれに伴う素晴らしいチームが4年の間に生まれる事を望んで止まない。我らが日本代表のバウンスバックにも期して、4年後を待ちたいと思う。

矛と盾が噛み合えばスペクタクル、矛と矛の真っ向勝負は最高にゴキゲンだ。改めて、ワールドカップを好きにさせてくれた1ヶ月に、全てのフトッボーラーに感謝したいと思う。

そして最後に・・・。

南米の大会は南米が優勝(アルゼンチン)と安易に予想した自分、猛省を促そうと思う。

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