パワフルな一振りとエレガントなバセリーナ。まだ何も成し遂げてはいませんが、“スーペル・レオ”の2ゴール・1アシストの活躍で、まずは一つ、2年前の“悪夢”・“屈辱”の借り返すことに成功した、レオ・メッシが世界一と再確認できた幸せなミッドウィークの朝となりました。
2014-2015・チャンピオンズリーグ・セミファイナル・ファーストレグ、バルセロナVSバイエルン・ミュンヘン@カンプ・ノウ。
前からボールを奪うインテンシティを見せてくれたのが何より素晴らしかったです。ミュンヘンは最初スリーバックで入ってきましたが、そのおかげでスペースがあって、開始早々にスアレスがオフサイド・トラップを搔い潜りノイアーと一対一となりました。ノイアーのビッグセーブで先制とはいきませんでしたが、好調スアレスが今日もやってくれんじゃね・・・という雰囲気に包まれました。その後、ネイマールとアウヴェスにビッグチャンスがあって(ディフェンダーに防がれたのとノイアーがまたビッグセーブを披露した)テンションが上がりっぱなしでした。その間に一度、エリア内右サイドからミュラーにクロス(ピケが引っ張られ中央がガラ空きとなってしまい)を入れられ、フリーのレヴァンドフスキに押し込まれかける危ないシーンもありましたが、完全にミュンヘンを上回りました。ただ、ゲーム早々にスリーバックを諦めたペップのトランスフォームの指示もあって、抉じ開けることは叶わず前半はスコアレスで折り返しとなりました。
ふうー。
ビッグマッチのテンションはこう(表現できないのだけれど・・・)でなければなりません、
後半立ち上がりはミュンヘンに押し込まれ、嫌な感じもしましたが粘り強くディフェンスし、そして歓喜の瞬間が(遅かったですが・・・)77分に訪れることとなりました。
ネイマールがエリア内で引っ掛けられたように見えた直後、左サイドから攻め上がろうとしたベルナトのドリブルが大きくなったところをアウヴェスが奪ってメッシへ叩き、メッシは右サイドからドリブルを仕掛け、数度のボールタッチの後に豪快に左脚を振り抜きゴール右隅に突き刺しました。
歓喜に湧きまくるカンプ・ノウでしたが、更なる歓喜が3分後に訪れました。80分。これも前からラキティッチがボール奪って右前に居たメッシにパスを通し、メッシが中央(左)へ侵入すると見せかけたフェイントで縦へ突破しボアテングに尻餅を付かせたアンクル・ブレイク(あんな倒れ方をするディフェンダーを久しぶりに観ました。アンリは気の毒だが笑えたと毒を吐いてましたが)、間合いを詰めて来たノイアー(角度が無かったので詰める必要は無かったかもしれませんが)を嘲笑うかのような右脚でのバセリーナでネットを揺らし2-0となりました。アンクル・ブレイクとバセリーナの秀逸過ぎるコンボでしたね。
一瞬の出来事、3分間で2ゴール。あとはアウェイゴールを許さないでゲームを締めるだけの中、世界一のマドリーのカウンターをも凌駕するバルサが誇るトリデンテのカウンターが最後に炸裂しました。
アディショナルタイム、前掛かりになったミュンヘン。バルサは、クリアしたボールをセンターサークル手前でスアレスが収め前を向き(シュバインシュタイガーに倒されましたが)右前に居たメッシがボールを受けて、左で開いていたネイマールに美しいスルーパスを通し、ネイマールは広大なスペースを単騎ドリブルで駆け上がり、最後はノイアーの股をクールに抜いて、美しいファーストレグの幕を下ろしてくれました。
何とかアウェイゴールを手にしたいミュンヘンの一瞬の間隙を突いた切れ味鋭いカウンター。ネイマールがネットを揺らすまでの2〜3秒の間、もの凄くドキドキしましたが、3-0でファーストレグをモノにし次週、ミュンヘンで雌雄を決することになりました。
0-0や1-0でイイと思っていた(とにかくアウェイゴールを許さない)ので、3点はかなりのアドヴァンテージです。ただ、ミュンヘンはマン・シティとは違います。今日見せたインテンシティの継続がベルリンへのチケットを手にする最大の近道となるでしょうね。
残り90分。
とにかく、熱く、激しく、走るのみです。
セカンドレグが待ち切れません。
『準備が出来ていた』カンプ・ノウのクレとバルサ・イレブン。
完勝。
『センセーショナルな試合を演じた。守備面は本当に素晴らしく、相手に枠内シュートを打たせなかった。バイエルンのようなチームが枠内にシュートを打てないなんて、本当にとてつもないことだ。それに、前線は決定機を決めきったね』
『僕たちは、ボールを保持しないプレーにも慣れている。そうなっても、別に不都合というわけじゃないんだ。そのような試合展開になることは分かっていたよ』
『グアルディオラはメッシのことをよく知っているし、彼がインスピレーションにあふれているときは誰にも止められないことを理解している。ファンタスティックな2ゴールを決めてくれたね』
『フットボールは何が起こるか決して分からない。バイエルンは偉大なチームで、彼らのファンが僕たちに圧力をかけるだろう。彼らが5点必要な状況にするため、むこうで1点決めないといけないね』
ピケのコメントの通り、ミュンヘンでもゴールを奪うのみです。
ミュンヘンの致命傷と成りうる3点目を上げたネイマールは、
『大きな一歩を踏み出したけれど、冷静さと謙虚さを持たなければいけない。まだ1試合が残されているのだからね』
『人生最後の試合に臨むんだと思って、ドイツに乗り込むよ』
と語ってくれました。
そして、この投稿のタイトルに頂いた攻守に走ったラキティッチのコメント。
『同じことの繰り返しになって、重苦しい人間だと思われてしまうかもしれないけれど・・・、メッシは『偉大な選手』と『唯一無二の選手』との間の差を生み出す存在だ。つまり、レオのような選手はほかにはいないんだよ』
良い事言いますね。
最後は敗軍の将で締めたいと思います。
『感傷のためにここにいるわけじゃない。仕事でここに来たんだ。バイエルンが決勝に進むためにね。それ以外は重要ではない。これは仕事なんだ』
『バルセロナは見事なカウンターを仕掛けてきた。こちらは長い時間、それに対応できていたと思う。だが、最終的にはメッシが才能を見せつけた。起こり得ることだった。フットボールはボールを持ちながら守備をしつつ、チャンスを作ることを目指さなければいけない。過去2年間はそれで成功していたが、今日のようなこともある。バルセロナにはおめでとうと言いたい』
『メッシは素晴らしい才能を持ち、今日のようなチャンスを数多く生み出している。相手がボールを持つと、ほとんどプレーに参加しないが好機をモノにするんだ。(1失点目は)ボールロストがあった。そういうことは、いつだって起こり得る。ただ、今日はその代償を支払うことになった』
『この相手からボールを奪わなければいけない。それができていたら、チャンスをつくれると思ったからだ。今は残念ながらカウンターを仕掛けるときに、フランクやアリエンというスピードのある選手を欠いている。だから、試合をコントロールすることを目指したんだ』
『(バルセロナに敗れることは特別辛いことかと問われ)それはない。負けたら相手がどこでもつらいことだと思っている。だが、私は満足しているんだ。大きな問題を抱えながら、ここまで来たのだからね。まだミュンヘンでのチャンスが残っている。3点目を許したのは残念だけど、みんなで全力を尽くすよ』
モウリーニョとは違うアプローチ、哲学を持つ『賢人』ですが、今日は上手く行きませんでしたね。
繰り返しますが、残り90分。
バルサがサヴァイブすることを願うのみです。