ノイズⅡ

今日もクダラナイ会議。

延々と午前中いっぱいを使って決まったことは、オソロシク無意味でどうでもいいことばかりだった。

ヴィジョンが、アイデアが、ソリューションが欠けていた。頭の中でいつものようにノイズが響き渡り、会議資料がゲシュタルト崩壊した。

小難しそうに眉間にシワを寄せている頭の薄い目の上のタンコブ。意味の分からない質問をヒステリックに投げかけるコシギンチャク。真剣に話しを聞いているフリをして株式マーケットをチェックするメタボ。我関せずとスカした上昇志向だけは一人前のウザすぎるチビ。マジメに考えてバカ正直にデカイ声で意見して否定されるアホ。大声で怒鳴られて萎縮し下を向く貧乏揺すりが半端ないユトリ。人形のように規則正く頷いて一心不乱にメモを取るシンジン。

虫酸が走る。

無性に煙草が吸いたくなる。昔は心ゆくまで吸えたのに・・・。気が付けば僕は、様々な表情とポーズのドラえもんを計8体も描いていた。

我ながらかなり上手く描けていた。

 

レオノール・ワトリング

『ドラえもんばかり描いていましたね、なにしてんですか(笑)』と仲のいい後輩が喫煙所で話しかけてきた。

ふぅ。

『三色ボールペンで色も付けてましたよね?。遠くから見ても分かりましたもん(笑)。緊張感無さすぎですよ、先輩』

『発狂しそうになるんだよ。それで、あれだけ罵倒しておいて会議室を出たら180°変わる態度。あのゴミ以下は、なぜ毎週毎週こんなことやるんだ?。建設的で意味のあることがなに一つない』

『キャラクターを演じてそれにキモイほど酔っていますよね。まぁそんなことよりランチいきましょうよ。新しいお店に。美味いって評判ッスよ(笑)』

レールから大きくはみ出した僕は、今日もまた後輩に救われ正気を保つことができた。

ノイズ

オマエは何のために働いているのか?。

クダラナイ仕事に、クソのような上司とゴミのような同僚。気の利かない後輩といけ好かないクライアント。毎日毎日決まった時間に吐き溜め輸送車に乗り込み、携帯端末を弄る目の死んだ他人たちと共にオフィスへ向かう。

始業時間の5分前に着席し、ラップトップを開いてコーヒーを飲み干す。数台のデスクで鳴り響く受話器に殺意を覚え、ものの5分もしないうちに紫煙のために席を立つ。

寿命を削る安息の地に、アホ面を下げた部下が『部長が探しておられます』と死刑宣告を告げにやってくる。二度目の殺意を胸に仕舞い、無菌室のようなカンファレンスルームの扉をノックして、僕は席に着くことだろう。

吐く息がこの世のものとは思えない体制側の奴隷にいいように言われ続け、僕はカンファレンスルームの片隅に置かれたパキラを眺め、冷静さを保つ努力を実行することだろう。

無駄なコストの垂れ流しを罵倒し続け、コミットメント、コミットメントと覚えたての横文字をオウムのように言い続けるクソヤロウ。延々と続くミーティング。空虚な目標設定と無意味な対策。折りたたみテーブルを蹴り上げ、『死ね』と言えればどれほど爽快なことだろう。

『アンタの吐く息は生ゴミ以下だ』

 

モニカ・ベルッチ

頭の中のノイズと共に『一服して落ち着けよ』ともう一人の自分が囁き掛けてくる。

良くない・・・、全くもって良くない。

まもなく、ラグビーのワールドカップ(初戦で優勝候補の南アフリカ相手にスポーツの歴史上で最も凄いジャイアント・キリングを起こした我らが日本)の第二戦が始まる。未明には、バルサのゲームからマドリーと連続ライブ視聴が待っている。スポーツを観て気持ちを切り替えよう。仕事は、お金のためだけなんだ。仕事は、遊ぶためにやっているんだ。

まぁ、仕方ないよな。僕は、何処にも行けない哀れな社畜なんだから・・・。